2013年11月7日木曜日

庶民の味方、759

香港は日本の農林水産物輸出先ではここ数年ダントツの世界一位で2012年は900億円以上の農林水産物が香港に輸出されたとのこと。
内訳を見ると、意外にも一番多いのが真珠で、2位になまこ、たばこを挟んで、3位が豚の皮と、中華料理の材料も実は日本からの輸入物だったりするのだな、というのがわかる。


菓子類や清涼飲料水でも香港への輸出額は大きく、ジャスコやユニー等の日系のスーパーは言うまでもなく、
Parkn ShopやWellcome、Market Placeといった地元系のスーパー、セブン-イレブンやサークルK等のコンビニでも日本の食品や飲料はどこでも見かけるようになっている。

ただ、日本の食品は価格が比較的高く設定されていることが多く、ちょっとしたレトルト食品や即席麺なんかでも、日本の価格と比較して、手が伸びないなんてことも少なくなかった。

そんななか庶民の味方としてここ最近猛烈な勢いで出店を続けている、日本食品を中心に販売している食料品店が"759 阿信屋"だ。名前の"759"は、この会社が上場している香港証券市場での証券コードで、"阿信"とは、日本のかつての人気ドラマ"おしん"の中国語。その不屈の精神にあやかって、商売が繁盛するように、とつけられたようだ。"759"は広東語のリズムが良く、香港人は"阿信屋"ではなく、"759"(無理矢理カタカナで書くと"チャッ、ンー、ガウ")と呼ぶことが多い。





















































どちらかというと、大通りや繁華街ではなく、比較的賃料の安いローカルのショッピングモールや郊外にお店があることが多く、その薄利多売戦略もあって、低中所得層から大きな支持を得ている。2010年に最初の店舗を出店してから、今年の9月時点で150店強を数えるまでに成長している。 ここで売られている商品は、もちろん人気のメインストリーム系の商品もあるのだけど、企画物で長く日本では売られずに在庫が残ったと思われる商品や、地方の会社が生産している、都心ではあまり見かけない製品、缶もの等では、やや凹みが目立つ製品等を安く仕入れているらしい。

さて、この"759 阿信屋"を展開している会社は、実は元々食品を扱っている企業ではなく、なんと電子部品の製造企業で、現在でも電子部品のビジネスは続けている。確か2011年頃だったと思うけれど、この会社でエンジニアとして働いている人から相談を受け、会社が食品のビジネスを始めて、自分も食品部門に異動させられそうになって悩んでいる、という相談を受けたことを覚えている。その時はまだ"759 阿信屋"の存在感はそこまで大きくなく、まさかここまで大きくビジネス展開をしてくるとは夢にも思っていなかった。 当初はインスタント・ラーメンやお菓子、飲料を中心をした商品ラインナップも、徐々にカテゴリーを増やし、生活用品、ペット用品、冷凍食品等も売り出し始めていたかと思ったら、先日遂に生鮮食品を始めたらしく、店舗に北海道産のじゃがいもやら、青森のにんにくやらが売られていた。大型の店舗は、商品の充実度としては、ちょっとしたスーパーと言っても差し支えないほどになっている。 "759 阿信屋"が人気になる前、香港には実は既に"OKASHI LAND"や"優の良品"といった、日本のお菓子を中心に販売する店舗が存在したのだけど、こんな成熟したと思われるような、食品の輸入販売という市場にも、やり方によってはまだまだ参入、発展の余地があるのだな、と目の覚める思いだ。

















実は今日になって、この会社は、今度は化粧品の小売りに進出することを発表し、株価が跳ね上がった。1.12ドルで始まった今日の相場は、終わり値で1.57ドルをつけ、40%強の値上がりを見せた。ブログを書いている場合ではなく、株でも買っておくべきだったのだ。